「ソーイング・ビー」を見て、なつかしい思い出がよみがえる。

ソーイングビー 暮らしを愉しむ

イギリスBBCで放送された「ソーイング・ビー」というお裁縫の腕を競う番組があります。

ちょうど今、日本語版がNHK Eテレで毎週木曜日に放送されています。

何気なく見始めた番組でしたが、もともと手芸好きだったわたしは、すっかりハマってしまいました。

番組はもちろんおもしろいのですが、いろいろな場面でわたしの古い記憶がよみがえってくるのです。

追記)2023年10月からNHK Eテレで、待望の新シリーズが始まりました。
   毎回、出場者に感情移入しながら観ています。

「ソーイング・ビー」

「ソーイング・ビー」はイギリス全土から裁縫に自信のある人たちが集まって、その中からナンバーワンを決める番組です。

挑戦者は、みんなアマチュアの人たちで、レベルは様々です。

毎回与えられる課題の洋服などを制限時間内に作成して、番組の審査員が採点します。

採点された点数が低かった人が退場者となり、挑戦者の中から最後に優勝者が決まるのです。

参加している人たちは、いろいろな感性と技量の持ち主なのでとても興味深いですし、みなさんプロではないので、誰もが何でもこなせるわけではありません。

テレビを見ているわたしでも出来そうかなという課題もあって、身近に感じられるものもあります。

また、番組中に出場者の自宅の映像や、出場者が合間にカフェで休憩をする場面も登場するので、イギリスの日常を感じることもできます。

そもそもソーイングの腕を競う番組など、日本にはありませんから珍しくてそれだけでも楽しめます。

シーズン1に登場する「アン」さんは、メンバーの中で最年長の上品なご婦人なのですが、「もし、わたしの母が生きていたら、このくらいの年になっていたかな」なんて、いつも優しかった母を想いながら見ていました。

なつかしい手芸用語

わたしは手芸は好きですが、裁縫を専門的に学んだこともなく、関連する仕事もしていません。

成人してからは「忙しい」を口実にして、手芸に触れる機会は減ってしまいました。

それでも子どもがまだ小さいころには普段着る洋服や、発表会に着る衣装を愉しんで作っていたのですが、最近ではミシンの出番も減り、自分の着る洋服のサイズを少し調整するときに使う程度です。

今回「ソーイング・ビー」を見ていると、「コーチングステッチ」や「糸ループ」など 、今のわたしの普段の生活では絶対に出てこない言葉があふれていて、なつかしさに震えてしまうのです。

「コーチングステッチ」を初めて知ったのは、わたしが刺繍に夢中になっていた小学生の頃ですが、その時に覚えた刺繍の基本縫の布は今でも大切に保管してあります。

刺繍

また、番組内で生地を裁断する場面を見ていると、むかし自分が洋服を作っていたときに、新しい生地に最初にはさみを入れる瞬間のドキドキ感がよみがえってくるのです。

家庭科の授業

わたしが中学生の頃のはなしですが、家庭科でワンピースを作るという課題がありました。

ワンピースを作るために、わたしの母が買ってくれた生地はオレンジと白の細いストライプ柄だったのですが、それを見た家庭科の先生が「ストライプは柄合わせが大変よ」と一言。

「ソーイング・ビー」でも柄合わせが大変としょっちゅう言っているので、中学時代のエピソードを思い出したのでした。

結局わたしのワンピースは無事に完成し、大変なはずの柄合わせも、ストライプの直線が逆に目印になって、意外にも苦労なくできたのでした。

また、「ソーイング・ビー」では子ども服を作る課題がありました。

やはり中学時代のことですが、夏休みの宿題で幼児のサマードレスを作ったことを思い出しました。

手芸

足踏みミシン

いろいろと古い記憶がよみがえるのですが、わたしが子どものころ家には足踏みミシンがありました。

世の中にはすでに電動ミシンはありましたが、わたしの家では足踏みミシンが現役で活躍していたのです。

とは言っても、使うのは子どもだったわたしがほとんどで、母がミシンを使っている姿を見たことはありませんでした。

実はわたしの母は手先があまり器用ではなく、ニコニコ笑いながら小学生のわたしをおだてては、自分ひとりでやるようにし向けられていたのです。

それがわたしに対する母の教育方針だったのかどうかは分かりませんが、おかげで家庭科の宿題は母の手を借りたことはありませんでした。

足踏みミシン

足踏みミシンはスピードの調整がしやすくて、とてもゆっくり縫うこともできるので、子どもでも細かい部分を縫う時に失敗がありません。

直線では早く足で踏めば結構速度も上がるので、カタカタと軽やかに縫えて楽しいのです。

今は電動ミシンを使っていますが、わたし自身は今でも足踏みミシンが一番使いやすいミシンだと思うのです。

おわりに

わたしにとって「ソーイング・ビー」は古い記憶を呼び覚ましてくれる番組です。

「決して忘れていたわけではないけれど、ただ思い出すきっかけがなかっただけ。」
そんな記憶が、あふれるくらいよみがえります。

それだけわたしが年をとってしまったということなのかもしれませんが、思い出すのは母との良い思い出ばかりなのは幸せなことだと思います。

「ソーイング・ビー」を見たことで、あらためて母に感謝したいと思ったのでした。